Om swastyustu☆
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バリ島を訪れると、バリ人の子どもからお年寄りまで、
右手首に赤・白・黒の3色の糸を巻いている姿をよく見かけます。

日本のミサンガにも似ていますが、
これは単なるオシャレではなく、バリ・ヒンドゥー教の信仰に根ざしたお守りです。

単なるアクセサリーとして身につける糸ではなく、寺院で祈祷された糸なのです。

寺院でマントラを唱え、神聖な力を授けることを「Pasupati(パスパティ)」といい、そうして授かった糸を撚り作った物。

『Tri Datu(トリ・ダトゥ)』 と呼ばれています。

以前、バリ人の友人から「バリ人の証」と教えてもらったことがあります。
私が初めてTri Datuをいただいたのは、2015年のこと。

当時はその意味もバリ人の証とだけで、よく知らず、バリ島の家族からいただいた大切なお守りとして身につけていました。

バリ・ヒンドゥー教の神様に守られ、常に心の平和と感謝の祈りを忘れないためのお守りなのだそうです。

それからはや十数年経ちました。

バリ島での暮らしや仕事、寺院への参拝を通して、さまざまな色の糸に出会いました。

Tri Datuは、3色だけでなく、4色・5色・7色・9色の糸もあり、
そこには神々や方角、自然界、宇宙観など、バリ・ヒンドゥー教のさまざまな教えが関係していることを知りました。

今回は、これまでの私の体験や写真を振り返りながら、
バリ島の色糸のお守りについて紹介したいと思います。

ご紹介している内容について

特に、Panca Datu(5色)やSapta Datu(7色)の糸のお守りについては、
さまざまな説や解釈があり、まだ確認できていない部分もあります。

今回は、調べた資料や現地で聞いた話をもとに、それぞれの考え方を紹介していますが、必ずしもすべてが正しいとは限りません。

また、その他についても、バリ島では地域や家庭、寺院によって意味や習慣が異なる場合があります。

あくまでも一つの参考としてお読みいただければ幸いです。

私自身も、これから現地で見聞きしながら、少しずつ理解を深めていきたいと思っています。

yucco
yucco
あまり体型的にまとまってないのは、
きっと諸説ありすぎるなのかなぁと思いました。

口頭伝承であったりすると、村や地域で考え方も違う様になるし、、、とそんな想像です。

2015年|初めていただいたTri Datu

2015年、スパ留学時にバリ島の家族からTri Datuを手首に巻いていただきました!

yucco
yucco
とっても嬉しかったのを覚えています!

手首に結んでもらうと、「これでユキコもバリ人だね!」
なんて言われて(笑)。

「もう観光客料金を取られないよ!」
「警察にも止められないよ!」なんて冗談まで。

もちろん、そんな効力があるわけではありません。
※場所により、バリ島を知っている人なのかな!?
と認識されることはあります。

でも、バリ島の家族の一員として迎えてもらえたような気がして、
とても嬉しかったのを覚えています。

実際にその糸を身につけていると、
地元の方が私の手首を見て、どうしたのそれ?とか聞いてきてくれたり、

当時は、日本人の私がバリ島の糸のお守りを身につけているのが、
少し珍しかったのかもしれません。

現在は、ホテルのチェックアウトの時などにつけてくれたりするホテルもあります。

それでも、今でも、やはりいただく時は、
これはバリ島のお守りだよ。『幸あれ』という気持ちを感じられて嬉しく、
大切に身につけています。。

(写真:2015年、初めていただいたTri Datu)

バリ人のミサンガ Tri Datuバリ人のミサンガ 【Tri Datu | ツゥリ ダトゥ】 バリ島にて、バリ人達が右手首にミサンガしています。 ...

Tri Datu(トゥリダトゥ)|3色の糸に込められた意味

Triはサンスクリット語で「3」、Datuは「要素・本質」などを意味する言葉です。

赤・白・黒の3色は、バリ・ヒンドゥー教における Tri Murti(トリ・ムルティ)、つまり創造・維持・破壊(再生)を司る三大神を象徴しています。

色 神様 象徴 元素
赤 Brahma(ブラフマー) 創造 火
黒 Wisnu(ヴィシュヌ) 維持・保護 水
白 Siwa(シヴァ) 破壊・再生 風(空気)

生まれ、保たれ、やがて終わり、また新しく生まれる。

これらは世界の循環を表す3つの働きであり、互いに関係しながら調和を保っていると考えられています。

ちなみに、破壊という言葉には、単に壊すという意味だけでなく、新しいものが生まれるための変化という意味もあります。

主にほとんどバリ人のみんながつけているのは、
この3色がTri Datuがメインです。(9色のサンガダトゥもたまに見ます)

2015年|9色のSanga Datuとの出会い

実は、初めてTri Datuをいただいた2015年には、もう一つ、色とりどりの糸のお守りもいただいていました。

それが Sanga Datu(サンガ・ダトゥ)。
9色の糸を使ったお守りです。

日本のミサンガにさらに近い見た目で、色鮮やかなのが印象的でした。

ウィさんに意味を聞いてみると、9つの方角を守る神々に関係しているとのこと。

ただ、どの色がどの神様を表すのかは、ウィさんもあるのは知っているけど、すぐ言葉で説明できな〜いとのこと(笑)。
当時は、そんな会話をしながら身につけていました。

2017年|チトラちゃんが結んでくれた9色の糸

そして2017年。
バリ島で仕事をして慣れてきた頃、もう一度、Sanga Datuをいただく機会がありました。

そのとき手首に結んでくれたのは、働いていたホテルで
インターンとして働いていたチトラちゃん。(当時18歳!?)

当時の私は、仕事は慣れてきたけどホームシックにかかっており元気がない時期
でもありました。

同僚は心配してくれている中、出勤した朝に、
チトラちゃんが私の手首に糸を結んでくれたのです。

その気持ちが本当に嬉しくて、今でも忘れられません。

チトラちゃんとは、その後も仲良くさせてもらっています!

yucco
yucco
彼女が優秀で、今や
KAYON JUNGLE RESORATの5つ星ホテルの
アシスタントマネージャーです!

お守りの宗教的な意味はもちろん大切ですが、私にとっては、
誰が、どんな気持ちで結んでくれたのか という思い出も、
同じくらい大切なものになっています。

Sanga Datu|9方向を守る神々

Sangaはサンスクリット語で「9」を意味します。

9色のSanga Datuは、
バリ・ヒンドゥー教の Dewata Nawa Sanga(デワタ・ナワ・サンガ) という考え方と結びついています。

これは東西南北とその間の4方向、そして中央を合わせた9つの方角に、それぞれ神々が配置されるというものです。

方角 色 神様
東 白 Iswara
南東 ピンク Maheswara
南 赤 Brahma
南西 オレンジ Rudra
西 黄 Mahadewa
北西 緑 Sangkara
北 黒 Wisnu
北東 青 Sambhu
中央 五色(全色!?) Siwa

※色の表現には資料によって多少の違いがあります。

yucco
yucco
上記の図解は私が、勉強の為に手書きで書いて
まとめたものです!

この考え方は、寺院の配置や建築、お供えものなど、バリ島のさまざまな文化にも取り入れられています。

チャナンのお花の配置もこれにのっとり配置されているとのこと。

2025年には、ブサキ寺院の大祭 Ida Bhatara Turun Kabeh で、
参拝者にSanga Datuが授けられたことも現地メディアで紹介されていました。

2015年に何気なくいただいた虹色の糸にも、
こんな意味があったとは、知るとなんだかありがたいです、きっとブサキ寺院で頂いてきたものを分けてくれたのですね。(うれしい!)

〜2026年|その他に4色、5色、7色のを発見!

そして2026年。

バリ島の宗教用品店を見ていたところ、赤・白・黒・黄色の4色の糸を見つけました。

現地では Catur Datu(チャトゥル・ダトゥ) と呼ばれていました。

さらに、寺院で5色の糸をいただいたことをきっかけに、

ほかにも種類があるのでは? と調べたら、見たことはありませんが、
7色の糸まであることが分かったのです。

Catur Datu(チャトゥル・ダトゥ)|4色の糸

Caturはサンスクリット語で「4」を意味します。

私が見かけたのは、赤・白・黒・黄色の4色。
この4色は、バリ・ヒンドゥー教で東西南北を守る神々の色となります。

方角 色 神様
東 白 Iswara
南 赤 Brahma
西 黄 Mahadewa
北 黒 Wisnu

4色の糸を四方位の守護と結びつける説明もあります。
バリ島では、色と方角、神々が深く結びついているのが興味深いところです。

Panca Datu(パンチャ・ダトゥ)|5色の糸

Pancaはサンスクリット語で「5」を意味します。
5色の糸を使った Panca Datu というお守りもあります。

こちらは調べていたらそれぞれ諸説あり、以下の5つの考え方は
別々に考えたほうがいい感じでしたので、あくまでも参考までに…!

  • Panca Dewata:東西南北と中央を守る五柱の神々
  • Panca Dhatu:五種類の聖なる金属・素材
  • Panca Maha Bhuta:地・水・火・風・空間の五大元素

バリ・ヒンドゥー教には、自然界と人間の身体を構成する5つの元素 Panca Maha Bhuta(パンチャ・マハ・ブータ) という考え方があり、Panca Datuをこの五大元素と結びつける説明もあります。

元素 意味 色
Pertiwi(プルティウィ) 地・土 黄
Apah(アパ) 水 黒
Teja(テジャ) 火・熱 赤
Bayu(バユ) 風・空気 緑
Akasa(アカサ) 空間 白

自然界と人間の身体は、同じ5つの元素から成り立っているという考え方です。

また、別の考え方にて、Panca Dhatuという言葉は、寺院の建立や聖別儀式に用いられる、5種類の聖なる金属・素材を指すこともあります。

※Dhatu(ダートゥ)はサンスクリット語で金属の意味

こちらは、また、東西南北と中央を守る五柱の神々 Panca Dewata(パンチャ・デワタ)
とも結びついています。

方角 神様 色 金属・素材
東 Iswara 白 銀
南 Brahma 赤 銅
西 Mahadewa 黄 金
北 Wisnu 黒 鉄
中央 Siwa 多色 合金(多説あり)

 

Pura Kereban LangitでいただいたPanca Datu

私が Pura Kereban Langit(プラ・クラバン・ランギット) を参拝した際にいただいたのは、赤・白・黒・黄・緑の5色の糸でした。

(写真:Pura Kereban Langitでいただいた5色の糸)

ここで気になったのが、緑色です。

境内には、海に関わる Kanjeng Ratu Segara Batu Bolong を祀る、緑色に装飾された祭壇がありました。

その祭壇を見たとき、もしかすると糸の緑色も、その神様の存在を表しているのかな?
と直感的に感じました。

調べてみると、この祭壇はチャングーのBatu Bolong海岸と宗教的なつながりがあるそうです。

ただし、実際にこの糸の緑色がこの神様を象徴しているのかは、
まだ確認できていません。

同じ緑色でも、Dewata Nawa Sangaでは北西を守るSangkaraの色とされています。

寺院によって独自の意味があるのかもしれません。

今度訪れた際には、この5色の意味について、お寺の方に直接聞いてみたいと思っています。

Sapta Datu(サプタ・ダトゥ)|7色の糸

Saptaはサンスクリット語の「7」を意味します。

今回調べていて初めて知ったのが、7色の糸を使った Sapta Datu です。

ブサキ寺院群にある Pura Pedarman Pasek(プラ・プダルマン・パセック) の特徴の一つとして紹介されており、バリ島の工芸品店でも販売されていることが分かりました。

この7色を、
ヒンドゥー教の宇宙観にある Sapta Loka(サプタ・ロカ)
と結びつける説明がありました。

Sapta Lokaは、宇宙を7つの階層として捉える考え方です。

階層 名称
1 Bhur Loka
2 Bwah Loka
3 Swah Loka
4 Maha Loka
5 Jana Loka
6 Tapa Loka
7 Satya Loka

ブサキ寺院群の中心にあるPura Penataran Agung Besakihの7つの区画も、
Sapta Lokaを象徴すると説明されています。

バリ島の宗教文化を紹介するTARUBALIでは、Sapta Lokaの七つの世界を、
魂の輪廻転生やカルマ、精神的な成長と結びつけて説明しています。

階層 世界 TARUBALIの説明に基づく意味
1 Mayapada(現世) 人間として生まれることは、Moksa(解脱)を実現するための貴重な機会とされる
2 Bwah Loka 地上と似た欲望や感情があり、喜びや悲しみを経験する微細な世界
3 Svarga Loka 天界。ここに生まれても輪廻は終わらず、残されたカルマによって再び地上に生まれることがある
4 Maha Loka 慈悲の心から、再び地上に生まれることを選ぶ魂もいる世界
5 Jana Loka 魂が精神的な成長を続け、残されたカルマを解消していく世界
6 Tapa Loka 宇宙的な意識(Kesadaran Kosmik)に至る世界
7 Satya Loka 至高の神Hyang Widhiとの合一が可能になる、最も高次の世界

出典:TARUBALI「Sapta Loka」。原文の説明を要約し、下位から上位の順に並べ替えています。

ただし、Sapta Datuの7色それぞれが7つの世界のどれに対応するのかまでは、
まだ分かっていません。

私自身、7色のSapta Datuはまだ見たことがありません。
ウィさんも見たことがないそうです。

yucco
yucco
また、チャクラカラーの対応だったら、何となく
理解できる様な気がしますが、こちらも正式な参照文献は出てこず。

色糸のお守りは、いつ、どこでいただけるの?

バリ島では、寺院でのお祈りや沐浴(Melukat)のあとに、手首に糸を結んでいただくことがあります。

ただし、すべての寺院での沐浴後や参拝後にいただけるわけではありません。

また、宗教用品店や工芸品店などで、糸そのものやブレスレットが販売されていることもあります。
(宗教用品展は祈祷前、工芸品展は祈祷されている糸を使っているかはわかりません)

あとは、バリ人から直接お寺で祈祷してきたもらったものを頂いたり、
最近は、某ホテルのチェックアウト時につけてもらえたりも、、、!?

Tri Datuのお守りは、いつ外すの?

バリ島では、自然に切れるまで身につけている方もいれば、古くなったら外す方もいます。

また、ニュピ(バリ島の新年)を区切りに外すという話もあります。
※人による。

古くなった糸を取り替えることは、過去のものを手放し、新たな気持ちで信仰に向き合う象徴だという解釈もあります。

手首にTri Datuがたくさん増え、見た目にも気になるようになった場合には、
外してもよいとのこと。

外した糸は、川や海に流して手放す(Dilarung)という伝統的な考え方も紹介されています。

ただし、むやみに外して、そのまま捨ててよいというわけではありません。
そのため、外したあとも敬意をもって扱うことが大切なのですね。

なので、日本でもし切れちゃったりしたら、バリ島に来た時に海に流したり、、、、
来る予定などがなかったら、
神社やお寺などでもお焚き上げでもいいのかなと思っています。

ちなみに、日本のミサンガのように「糸が切れたら願いが叶う」という決まりが、
バリ島のお守りに共通してあるわけではありません。

バリ人の友人は、増えてきたりちょっと切れそうになってきたら、
ハサミで切ったりして外している。と言ってました。

外す時期や方法は、地域や家庭、寺院によっても異なるため、
いただいた場所の習慣に合わせるのがよいと思います。

手首の糸の変遷は思い出


2015年、バリ島の家族から初めていただいた3色の糸。
同じ年に出会った9色の糸。

2017年、チトラちゃんが結んでくれたSanga Datu。

そして2026年、様々な沐浴場やお寺などで頂いたもの、そして、
宗教用品店で見つけた4色の糸や、Pura Kereban Langitでいただいた5色の糸。

こうして振り返ってみると、小さな糸のお守りにも、
たくさんの思い出が詰まっています。

最初は意味もよく分からず、ただ嬉しくて身につけていたもの。

それが、バリ島での経験を重ねるうちに、神々や方角、自然界の元素、宇宙観など、さまざまな信仰とつながっていることを知りました。

調べれば調べるほど、新しい疑問も生まれます。

yucco
yucco
だいぶ諸説もあり、まとめるのが大変で頭を悩ませましたが、このプロセスも大事だと思うし、また、その都度わかったことや修正があったら直していきたいと思っています!

まだ分からないこともたくさんありますが、それもまた、バリ島の文化を知る楽しさなのかもしれません。

そして私にとって、Tri Datuをはじめとする色糸のお守りは、宗教的な意味だけでなく、バリ島で出会った人たちの優しさや、そのときの思い出を感じられる大切なものでもあります。

これからも実際に見て、聞いて、体験しながら、少しずつ理解を深めていけたらと思います。

参考資料

 

※色糸のお守りの名称や意味、扱い方には、地域・寺院・解釈による違いがあります。本文では現地での体験と公開資料による説明を区別して紹介しています。

 

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